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淡江中学出身者と二・二八事件:台湾郷土文学の巨星——鍾肇政

1925年、鍾肇政は桃園龍潭郷(現在の桃園市龍潭区)に生まれ、公学校卒業後、淡水中学に入学しました。幼い頃から文章を読むことが好きで、文学作品に強い興味をもっていました。しかし、中学に入ると、植民地体制下で台湾人が差別待遇を受けていることに気づき始めます。


淡水中学卒業後、鍾肇政は彰化青年師範学校に進学。短期間、大渓で臨時の教員をつとめました。戦争中は学徒兵として入隊しましたが、マラリアに罹ったことが原因で聴力が低下し、以降、その障害にひどく苦しめられました。第二次大戦後、台湾大学の中国文学学科に入学したものの、耳の疾患により退学しました。戦争中のトラウマと、少年時代の精神的な苦しみは、いずれもその後の創作の題材となりました。


第二次大戦後、鍾肇政は龍潭に定住し、龍潭小学校の教師となりました。1951年に処女作『婚後』を発表し、作家としての人生をスタートさせます。1960年、『聯合報』に長編小説『魯冰花』を連載後、1961年から1967年にかけて発表した『濁流三部曲』、1964年から1967年にかけての『台湾人三部曲』は、鍾肇政の作品を代表する長編小説であり、台湾の歴史を題材とした大河小説の先駆けとなりました。

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